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子育てと人材育成、そして自己成長

  • 執筆者の写真: MIKIHIKO NISSATO
    MIKIHIKO NISSATO
  • 1月27日
  • 読了時間: 6分

忘れられないテレビCM


10年以上前のことですが、あるクレジットカードのテレビCMが今でも鮮明に私の記憶に残っています。そのCMでは、50歳前後の父親と小学生の娘が湖畔でキャンプをしているシーンが描かれています。夕暮れ時、たき火を囲みながら以下のような会話が交わされます。


父:「リナの将来の夢は何なの?」

娘:「パパみたいな建築家になること・・・だって、かっこいいじゃん」

父:「へぇ~ (微笑) 」

娘:「パパの将来の夢は何?」

父:「・・・だってパパはもう (困惑) ・・・」

父:しばらく考えて、「夢か (笑顔) ・・・よーしっ!」


このたった30秒のCMは、心温まる内容で、私は時々思い出します。


子育ての喜びと教訓


私には2人の息子がおり、1人は成人し、もう1人は大学生です。子育てを振り返ると、苦労したと感じたことは一度もありません。あんなに楽しくて充実した経験をすることができたことを心から感謝しています。もう一度子育てをしたいくらいです (妻にはいつものん気なことを言って戒められますが) 。もちろん、数々の失敗やトラブルもありましたが、私自身が成長するには格好のトレーニングの時と場でした。


ここからはわが家の話になりますので、全ての家庭に当てはまるわけではないこと、また、良いことばかりだけではなかったことをご理解ください。


子供の強さから学ぶ


私が子育てで学んだことは、子供は非常に強いということです。大人以上に強い部分があります。辛いことや悲しいことがあっても、大抵は翌日にはケロッとしています。昨日のあれは何だったの?と思うくらいです。反面、私は仕事上での失敗や人間関係のトラブルで何日も、ある時は何年もネガティブな思いを引きずることがありました。


最近、「レジリエンス (resilience) 」という言葉が日本でも使われるようになりましたが、困難をしなやかに乗り越え回復する力 (精神的回復力) と難しく説明されています。簡単にいうと「しぶとい」ということです。私は息子たちから、このレジリエンス=しぶとさを学びました。


息子たちと私をつなげるものの一つとして空手があります。親子で今でも稽古をしています。彼らは何時間、何日、何年も興味を持ったことに取り組みます。息子たちの姿勢から、私も強くなることができたと思っています。へこたれることもなく、根気よく取り組む息子たちの姿勢から、私も強くなることができたと思っています。


自己成長の重要性


このエピソードからお伝えしたいことは、子供を強くしたいということよりも、私自身が強くありたいと思っていることです。当の昔に私は子供を強くすることを諦めています。強くなるきっかけやチャンスは提供してきたつもりですが、強くなるかどうかは子供の選択に委ねられています。


私が息子たちをコントロールすることは不可能です。彼らは全く別の人格を持ち、リスペクトすべきです。むしろ私の関心は自分自身にあり、私が強くなることです。子供の強さから学び、それによって強くなった私から、息子たちも学び、強くなっています。お互いが切磋琢磨 (せっさたくま) し、現在も進行形で強くなっています。


ビジネスも同じです。上司やマネージャーは、部下やメンバーを強くすることよりも、まずは自分自身が学び、強くなることで、部下も自然と成長していくのではないでしょうか。


子供と自律


子供は親の弱さやダメな点も本当によく見ています。子供にはうそをつけません。そして、私の強さと弱さは、息子たちからも透けて見えることがあります。まるで鏡のようです。妻に対する私の小言を息子たちも全く同じように言っていたりするのを聞くと、ゾッとして反省することがあります。家庭は良い面も悪い面も学ぶのに適した場所であり、職場もまた、それに例えることができます。


部下やチームメンバーは、上司の良い面や悪い面をよく知っています。部下にうそをつくことはできません。上司が主体的に行動せずに、決断力を欠いていたら、自律した社員を育てることができるでしょうか。それはナンセンスです。重要なのは、先ずは上司が自分自身を磨き、自分の成長に焦点を当てることです。


子供の自主性と親の役割


私はいつも子供たちの幸せを願っていますが、彼らが失敗することもまた良いことだと思っています。子供のうちに失敗を経験することで、学びがあり、人の痛みを知り、そして強くなるものです。ある程度、無知な子供に道やレールを示すことや一定の指導は必要でしょう。


しかし過保護になったり、過干渉になったりすることは避けるべきです。それは子供にとって不幸を招くことになります。親の保護や干渉の度が過ぎると、自分は守られるべき存在、弱い存在だという意識が子供たちの中で強くなってきてしまいます。また親が口を出し過ぎることで、チャレンジすることに怖れを持ってしまいます。


やりたかったのにできないと、子供は不満がたまり怒りを抱えるようになります。そして、子供は自信を失い、みじめな気持になってしまいます。どうして子供の幸せを心から願うのに、子供をみじめにしてしまうのでしょうか。親ができることは、子供の幸せを願い、見守り、信じることではないでしょうか。


それは職場でも同じことが言えると思います。過保護と過干渉は避けつつも、社員を信じ、社員の成功をサポートすることが大切です。


夢と挑戦


英語で“mind your own business”という表現があり、直訳すると「自分のビジネスに集中したらどうですか」です。簡単な言い方をすると「余計なお世話だ!」という意味です。子供の人生は私の人生ではありません。私の幸せや未来を子供たちには押し付けません。そんなことをしたら、子供が本当に可哀そうで、みじめです。子供たちは自分で人生を切り開いていくべきものです。


ここでもやはり私の関心と焦点は私自身です。“I mind my own business! ” です。私自身がやるべきことをやることです。そして、夢中になることを見つけて、それに取り組み、生きていくことが、私の幸せであり、私の未来です。その姿勢が、きっと子供たちにも伝わり、彼らの幸せにつながることだと信じています。職場でも上司が実践し、挑戦していたら、きっと社員も呼応するのではないでしょうか。


前述のCMの娘さんの「パパの将来の夢は何?」という質問は私を奮い立たせます。年齢は関係ありません。もうこんな年齢だ、いまさら自分なんかと思うのは止めてみてはどうですか。年齢は、ただの背番号です。


さて、私から質問です。

皆さんの将来の夢は何でしょうか。その夢を達成するために学び、努力しているでしょうか。

 
 
 

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